北斗米はこうして作られる〜丹精込めた作業の数々に迫る〜
北斗米の栽培は、昭和63年から当社(株式会社やぎぬま)と北斗米生産者が、二人三脚で取り組んできました。
生産者 | 北斗米の栽培、収穫 |
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やぎぬま | 土壌診断、肥料設計、生育のアドバイスなど |
それぞれが役割を分担し、その土地に合う方法でおいしいお米を作ります。
本記事では、次の点をわかりやすく解説します。
- 肥料のこだわり
- 土づくりのこだわり
- 農薬のこだわり
- 北斗会生産者の声
北斗米が食卓に届くまでの物語をご覧ください。
北斗米はこうして作られる〜おいしいお米ができるまでの物語〜
北斗米作りにおける1年間のスケジュールです。
- 田んぼ準備・苗づくり
- 田植え
- 水管理・畦草刈り
- 収穫
まずは、3月から始まる田んぼの準備を紹介します。
①田んぼ準備・苗づくり
3月上旬、農家の作業はハウスの除雪から始まります。
雪を豪快に15mも吹き飛ばします。
少しでも風があると、ビニールが暴れて大変な作業になります。ハウスが長くなるほど人数が必要なんですね。
ハウスの中で何をするの?
ハウスでは苗を作り、田植えが可能な大きさまで成長させます。写真の状態まで育てます。
これから苗づくりのプロセスをじっくりとご紹介していきますね。
昔は、種もみを田んぼに直接まく直播(ちょくはん)を行っていました。しかし、北海道の5月は気温が低いため初期成育がうまくいかず、収量が安定しません。
やがて、農業機械の進化に伴い、苗を作って田植えをすることで、収量は上がり安定的な栽培が可能に。こうして、田植え機で植える「苗」を作るようになりました。
モミまきの準備
田植え機に積み込む箱に、
- モミをまく
- 発芽させる
- 育てる
という工程がありますが、まずはモミまきから。
はじめに、種モミを7~10日ほど水に浸けます。
種モミの芽を少し出しておくことで、低温時期でも早く土から出るからです。発芽も均等になり、生育差もなくなるのも利点。
ただ水に浸けておけば良いというわけではなく、2日に一度は新しい水に取りかえ、水の温度を11~13℃に保つ必要があります。
水の温度が低いと芽が不ぞろいになり、高いと苗の病気になりやすくなります。管理が大変です!
写真のように少し芽が出たら準備はOKです。
水に浸ける積算温度が100℃に達したところで、水温度を32℃に上げ、24時間で一気に芽を出します。(13℃の水×8日浸ける=104℃の積算温度)
モミまき
ようやくモミまき作業が開始。
苗箱(60cm×30cm)に種モミをまきます。
専用のモミまき機で、1時間に700枚も作れるんですよ!
あとは機械がすごい速さで仕事をしてくれます。
土の中にモミが入った箱は、ハウスに運ばれます。
育苗
ハウスの中に箱を並べる作業。
育苗管理は失敗がゆるされません。
温度や水管理には細心の注意を払いながら作業をします。
ハウスに並べて5日後には、発芽。
ここからは約1か月間毎日、水をかけたり、ビニールハウスのすそを開けて温度調節をするなどの作業を行います。
日が照ると、閉め切ったハウス内の温度は40℃以上にもなります。
苗は30℃以上の高温にあたると障害が出てしまうため、温かくすれば良いわけではないんです。
こちらは、順調な苗。ハウスの奥まで草丈もきれいに揃っていますね。
こちらは、大丈夫?
少し色の変わった部分がありますが、「苗立枯れ病」という病気になった苗です。
土の中にカビが繁殖し、根が腐り、枯れはじめています。
田んぼの準備
苗づくりと同時に田んぼの準備も進めます。
4月下旬、雪がなくなり土が乾いたら、田起こしのスタートです。
田んぼの土をほぐす作業。土中に空気が入ることで微生物が活性化し、健康な土になります。また、根が張りやすくなり、水を含みやすくなるため、作物の成長に良い影響を与えます。
田起こしが終わり、5月に入ると肥料をまきます。
北斗米専用肥料「ホクトぼかし」を10aあたり、100~180kgと、たっぷり使います。
肥料散布機(ブロードキャスター)に、いっぱい入れて準備完了。
田んぼに水を入れ、土を砕いて平らにする作業です。稲に栄養を取り込みやすくし、健康的に成長させるために、田植えの前に行う重要な準備です。
代かきが不十分だと、田植えがうまくいきません。
トラクターは時速2~4kmで、ゆっくり丁寧に作業します。
代かきが終わった水田に水を張り、あとは田植えを待つばかり。
②田植え
- 苗の長さは11~13cm
- 葉の枚数は4~4.5枚
手塩をかけて育てた苗が、上記のようになると完成。いよいよ田植えです。
例年、5月15日頃から田植えが始まります。
稲刈りは頑張れば1人でもできますが、田植えは3〜5人は必要です。人がいるほど作業が早くなるので、この時期はアルバイトを雇う農家も多いです。
ハウスと田んぼを行ったり来たり、1日に10〜15往復ぐらいします。想像するだけでかなり大変なのがわかりますね。
手間ひまかけて育てた苗が田んぼに植えられました。
③田んぼの管理
・炎天下の中、朝から晩までやり続ける
・同じ動きの単純作業
・草刈り機のエンジン音がうるさくて、音楽やラジオも聞けない
・疲れる
こんな理由で嫌われます。
実は、畦に生えている草の根のおかげで強度が保たれています。
除草剤をまき、畦草の根が枯れると、畦がボロボロに崩れたり水漏れの原因に。刈らないと病気や害虫が増えるので必要な作業です。
こんな急斜面でも頑張って刈ります。
田んぼに水を張ると雑草を抑えられますので、土が出ないよう水管理はしっかりと行います。
上の写真は、一時期、土が出て雑草が生えてしまいました。
低温になると、花粉の量が減り、不作になりやすいのです。
7~10日ほどでこんなにも大きくなります。モミの形まで確認できますね。
【田植えから60日後】
7月25日頃、しっかりと育った穂が出てきます。
穂が出てから45日後に稲刈りができる予定です。
斑点米の原因になるのが「カメムシ」。
正式名称は「アカヒゲホソミドリカスミカメムシ」です。長すぎる・・。
カメムシは玄米のデンプンを溶かしながら吸ってしまうため、黒い斑点のようになります。
これが多いと2等米や3等米になってしまいます。
すくい取り以外にも、予察台を5か所設置して調査をおこないます。
カメムシは夜行性で、光に集まる習性があります。
蛍光灯(補虫灯)をつけて、毎日調査。
一晩で、こんなにつかまります。
黒っぽく見えているものは全部、虫。
虫の発生具合を調査し、生産者に防除の実施を促します。
そんなこんなで、田んぼの管理をしているうちに穂が下がりはじめ、稲刈りが近づいてきます。
④収穫
【田植えから100日後】
9月10日頃、黄金色に染まり、いよいよ稲刈りの開始です。
大型のコンバインは、1日に2haの面積を刈り取ることができます。
田んぼの面積にもよりますが、7〜10日ぐらいですべての作業が終わります。
トラックに積まれたモミは、乾燥機にかけ水分を15%前後まで乾燥させます。
収穫後のモミは水分を多く含むため、保管時にカビが生えたり発酵が進むなど、品質が悪くなりやすいです。そのため、乾燥して良い品質で保管します。
その後、モミすり機(モミから玄米にする機械)にかけられます。
そして、粒の大きなお米だけを選別し、製品になります。
最後に袋(紙袋、樹脂袋、フレコン袋)に入れられ出荷。
こうした数々の作業や工程を経て、北斗米が作られます。
お米づくりには八十八の手間がかかっていると言われますが、本当に多くの手間がかかる大変な仕事なんですね。
集荷後の様子も知りたい方は、次の記事をご覧ください↓
北斗米「肥料」のこだわり
北斗米づくりには、独自に配合した有機質100%の肥料「ホクトぼかし」を使用しています。
原料は、魚の「身」や「内臓」が中心。
このホクトぼかしをふんだんに使い、田んぼに適した「土」を作ります。
北斗米「土づくり」のこだわり
やぎぬまでは、北斗米生産者の田んぼから土を採取し、「土壌分析」を行います。
- HP(水素イオン濃度)
- EC(電気伝導度)
- 窒素
- リン酸
- 加里
- カルシウム
- マグネシウム
- 鉄
- マンガン
の成分を調べることができ、田んぼに合わせた肥料設計を行うことで、美味しいお米が獲れやすくなります。
土壌の栄養状態を測定し、不足している栄養素を正確に把握して対策します。
北斗米「農薬」のこだわり
一般栽培米 | 北斗米 | |
種子消毒 | 0〜3回 | 0回 |
床場殺菌 | 2〜3回 | 0〜2回 |
床場殺虫 | 1回 | 0〜1回 |
除草剤 | 6回 | 3〜4回 |
防除 | 10〜12回 | 1〜4回 |
合計 | 22回以下 | 4〜11回 |
米作りの農薬使用回数比較【表】
特に防除(病害虫などの予防と駆除)の回数が圧倒的に少ないのがわかると思います。
農薬の回数を減らすことで、食品の安全や水田周りの環境に配慮して、北斗米を栽培しています。
北斗米は「ネオニコチノイド系農薬」不使用
ネオニコチノイド系農薬とは、「ニコチン」に似た化学構造を持つ農薬の総称で、「ネオニコ」とも呼ばれます。
ニコチンには虫の神経を興奮させて殺虫する効果があるため、この性質を利用します。
この農薬は、虫に効いて人には安心と、世界でも広く使われてきました。ところが近年、「環境や人体への影響」を指摘する報告が続き、海外では規制に取り組む動きが広がっています。
日本では規制が緩くまだまだ使用されていますが、北斗米づくりには一切使用していません。
北斗会生産者の声
天候などの条件により、収穫量や味などが毎年微妙に変化するため、苦労しない年はありません。皆様においしく食べてもらえるよう、丹精こめて栽培していますので、これからも北斗米をよろしくお願いします。
昨年も満足のいくおいしいお米が出来ましたが、今年はそれ以上を目指し、手間を惜しまずガンバります!
後継者として農業を始めて10年目です。今までの反省を生かし、もっとおいしいお米を作れるように努力していきますので、応援をよろしくお願いします。
お米作りを作り始めてから40年以上たちますが、同じ年はなく、毎年が1年生です。病気・害虫等の発生に作物を作る難しさを感じます。それでも、一年間努力して、一生懸命作った北斗米は、本州のお米にも負けないと思っています。
北斗会発足時から有機肥料をふんだんに使い、消費者に「おいしい」という言葉を聞きたくて栽培してきました。消費者の喜ぶ顔が見られるよう作りますのでぜひ食べてください。
「北斗米はこうして作られる」まとめ
- 北斗米は、生産者とやぎぬまの二人三脚で作られる
- 準備から収穫まで、驚くほど多くの手間がかかっている
- 独自配合の有機肥料「ホクトぼかし」を使用
- 土壌診断をしてその土地に合う土を作る
- 北斗米はネオニコチノイド系農薬不使用
北斗米づくりの準備から収穫、出荷までのプロセスを詳しくお伝えしました。
北斗米は、生産者とやぎぬまが密接に繋がることで、こだわりたっぷりの美味しいお米になります。
ぜひ、当社自慢の「北斗米」をご賞味くださいませ。
北斗米はオンラインショップで購入できますよ♪
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