品質向上に向けて
近年、地球温暖化の影響もありゲリラ豪雨や高温、干ばつなどの気候変動が激しくなっています。その被害は世界規模であらゆる分野に影響が出ており、農作物においても甚大な被害をもたらしていることは皆様もご存知の事と思います。
水稲に関しては特に高温障害による白未熟粒や胴割れ粒といった品質低下が懸念しています。
白未熟粒の主な原因は出穂後20日頃の平均気温が26℃以上になると発生しやすいと言われています。特に夜温が高くなると、稲の呼吸作用が増加し、日中に作られたデンプンが呼吸で消費されてしまいます。その結果、穂に送り込まれるデンプン量が少なくなることにより、登熟歩合が低下し、白く濁った白未熟粒になってしまうのです。
昨年は、このような状況が全国各地であり、全国的な米の品質低下をもたらしました。
生産者はこれらの現象を少しでも軽減するために、高温時には稲体の温度を下げるために水をかけ流したり、健全な根を作ることにより土壌中の水分吸収を良くすることで軽減できるように管理をします。
しかし近年の異常な高温には現状の管理では限界が来ているように感じます。高温に強い品種の改良も行われ始めましたが、まだ数年はかかることでしょう。
そこで注目されているのが「バイオスティミュラント(以下、BS)」です。BSは日本語に直訳すると「生物刺激剤」といい、世界的にも注目されている新しい農業資材分類です。
具体的には植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物をいい、植物が本来持つ自然の力を引き出すことにより、植物の健全さ、ストレスの耐性、収量や品質の向上に良好な影響を与える資材です。
農薬が害虫や病気、雑草など生物ストレスに対処するものであるのに対し、BSは干ばつ、高温障害、塩害、冷害、霜害など自然環境ストレスに対する抵抗力を高め、結果的に収量、品質向上が期待される新しい農業資材と言えます。
また、BSは海藻や花生姜といった天然成分や動植物由来の抽出物から作られており、使用者、消費者、環境のいずれに対しても安全性の高いものと言えます。
北斗会としても本年度から一部で試験的に活用して栽培に取り組んでいます。本年も暑い日が多く白未熟粒や胴割れ粒といった品質低下が懸念されますが、少しでも良い結果に繋がればと期待しています。
皆様に少しでも良い品質のお米がお届け出来るよう、これからも新しいことに挑戦して行きますので、今後とも宜しくお願い致します。